なぜ慢性痛は治りにくいのか? 脳が痛みを記憶するメカニズム

慢性痛

慢性痛が長引く理由の一つに、脳の「大脳辺縁系」、とくに「扁桃体」と呼ばれる部分が深く関わっていることが分かっています。

痛みが続くと、不安や恐怖といった感情が扁桃体で処理されます。すると扁桃体が過敏になり、痛みの感受性そのものが高まってしまいます。つまり「痛みへの恐怖」が「痛みの強さ」を増幅させるという悪循環が起きるのです。これが、薬や処置だけでは慢性痛が治りにくい理由のひとつです。

この記事では、大脳辺縁系と慢性痛の関係を詳しく見ていきます。

1. 大脳辺縁系とは

大脳の外側に位置する新皮質が、高度な精神機能に関わる一方で、大脳辺縁系はより内側に存在し、生命維持や基本的な体内調整に関与しています。大脳辺縁系は、感情や記憶、そしてモチベーションを司る脳の一部で、慢性痛に対する感情的な反応を調整します。

慢性痛は単なる身体的な感覚にとどまらず、感情や心理状態とも密接に関わっています。痛みが長引くことでストレスや不安が生じ、これらの感情は大脳辺縁系、とくに扁桃体で処理されます。


2. 扁桃体と慢性痛

扁桃体は大脳辺縁系の一部で、とくに恐怖や不安などの感情を処理する役割を持っています。慢性痛を抱える方は、痛みが続くことへの不安や未来への恐怖を強く感じ、これが扁桃体の活性化を引き起こします。この活性化により、痛みの感受性が高まり、痛みをより強く感じるようになる可能性があります。


3. 扁桃体と痛みの悪循環

扁桃体の過剰な反応は、痛みに対する感情的な反応をさらに強化し、結果として痛み自体を増幅させることがあります。たとえば、痛みに対する恐怖が扁桃体を刺激し、その結果、痛みをより強く感じるという悪循環が生じることがあります。こうした悪循環が続くと、痛みが慢性化し、治癒が難しくなることもあります。


4. 自律神経と扁桃体

扁桃体は、自律神経系とも密接に関連しており、体内のストレス反応を調整します。慢性的な痛みが続くと、扁桃体を介して交感神経が過剰に働き、体の緊張やストレスが高まります。これにより、痛みの感覚がさらに強化されることがあります。


5. 慢性痛は「治らない」のではなく「アプローチが違う」

慢性的な痛みと大脳辺縁系、とくに扁桃体の関係は、痛みに対する感情的側面に深く影響を及ぼします。扁桃体が痛みに関連する恐怖や不安を処理することで、痛みが強まったり長引いたりすることがあります。

そのため、慢性痛の治療には、身体的なアプローチだけでなく、心理的・感情的な要因に対する対策も重要です。身体と心理・感情は密接につながっているため、両方へのアプローチが大切です。

薬や処置だけで「治らない」と感じている場合、それは治療が間違っているのではなく、痛みの悪循環そのものにアプローチする視点が必要なのかもしれません。神経系の仕組みに基づくアプローチについて、詳しくはこちらをご覧ください。

当オフィスでは、神経系からのアプローチで慢性痛・身体の不調に向き合っています。
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